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【振り返り】ヨーロッパと中東10日間5カ国旅から学んだ8つのこと|世界から学んだことをどう日本経済に活かせるか?

目次

【振り返り】ヨーロッパと中東10日間5カ国旅から学んだ8つのこと|世界から学んだことをどう日本経済に活かせるか?

前回の記事で5カ国10日の欧中旅を紹介しました。

もしまだ見ていなければ動画と合わせてチェックしてみてください。

旅を通じて色々な視点を持つ機会を得られたので、この記事ではその旅の内容の振り返り記事として紹介したいと思います!
各章の最後に「日本が学べること/ヒントにできそうなこと」としてまとめています。

旅は娯楽を超え、制度・経済・人の流れから未来を考えるヒントになります。
日本はこれから何を見直し、何を学べるのか?そのヒントは、ヨーロッパと中東の街角にありました。

旅の中の気付き・学び

旅の動画の中では感動や驚きをお伝えしましたが、それに加えて、経済・労働・制度・社会モデルの比較や気づきにフォーカスしてみました。

  • 学んだ内容
  • 💡主なポイント
  • 🇯🇵日本も応用できない?

今回の旅で欧州から見えた内容を各項目ごとに上の3点を挙げた上で、日本の現状と応用を考えてみたいと思います。

「旅の学び」として実体験として語ることで、読者にとって「旅 × 経済・社会モデル × 日本へのヒント」という切り口でわかりやすく、価値ある情報としてお伝えできればと思います。

この記事の目的と読み方

この記事は、旅の感動レポートではなく「世界から学び、日本で活かす」視点での振り返り記事です。

  • 「物価が高い国でも、なぜ人々は豊かに暮らせるのか?」
  • 「国境を越えた働き方や都市設計に、どんなヒントがあるのか?」
  • 「高付加価値社会とは何か?日本にもできることはあるのか?」

こうした“旅先でのリアルな体験”を出発点に、各国の制度や社会モデルを分解し、日本社会にとって活かせるポイントを探ります。

🔍こんな人に読んでほしい

  • 海外の社会制度や経済構造に関心のある方
  • 日本の将来像を模索しているビジネスパーソン・起業家・自治体関係者
  • “旅を学びに変える視点”を持ちたい方

10日間で訪れた国

🇩🇪ドイツ → 🇨🇭スイス → 🇱🇮リヒテンシュタイン → 🇦🇹オーストリア → 🇶🇦カタール

当記事の解説動画はこちら

本記事の内容は動画でもご覧いただけます。

🇨🇭スイスの物価は“3倍”という現実──高賃金社会が支える「付加価値経済」と日本経済の現在地

スイスに滞在してまず感じたのは、「物価の高さ」です。とにかく何をするにもお金がかかります。たとえば、チューリッヒの街中でカフェに入ってコーヒーを頼むと、一杯800〜1,000円は当たり前。日本なら200〜300円で飲めるアメリカンが、こちらでは約940円もします。

さらに驚いたのは、チーズフォンデュの専門店での体験。2人で食事を楽しんだところ、支払額は15,000円ほど。日本なら4,000円、多くても5,000円程度で済むところです。全体的に「日本の3倍」という物価感覚が肌に残りました。もちろん観光地価格や円安の影響もあるとは思いますが、スイスの日常はまさにこの水準なのです。

では、なぜこれだけ高くても人々が生活できているのか?

それは高賃金×高付加価値経済という構造にあります。実際、スイスの一人当たりGDPは約94,000ドル(約1,400万円超)と、世界でもトップクラスです(日本は約35,000ドル前後)。

  • 国際競争力のある産業(医薬・金融・精密機器)
  • 法人税の競争力と多国籍企業の誘致
  • 労働生産性の高さと信頼できる制度設計
  • 少数精鋭が、高付加価値を生む社会設計

その理由の一つは、金融・医薬・精密機器など、国際競争力の高い産業が経済の中心を担っていること。たとえば、ロシュやノバルティスといったグローバル製薬企業や、時計・精密工業の分野での高度な技術力が、それぞれ高収益を生み出しています。また、法人税が比較的低く、多国籍企業の本社が多数集まる“ビジネス誘致型”の経済政策も、経済成長の土台になっています。

さらに、スイスは教育水準・労働効率・法制度の信頼性などが非常に高く、「少数精鋭の人材が、高い付加価値を出す」という経済モデルが機能しているのです。つまり、労働時間はそれほど長くなくとも、1時間あたりの経済的インパクトが大きい。これが「高物価でも生活できる国」の実態です。

一方の日本は、長らく「安さ」が正義でした。この現実を目の当たりにして、日本との経済構造の差を強く感じました。企業も消費者も“価格に敏感”な体質になっています。しかしその裏で、賃金は伸びず、生産性も停滞したまま。モノの価値ではなく、安さに頼る経済モデルが限界を迎えているのかもしれません。でも今や、安さ=価値ではない時代へ。経済モデルの再構築が急務です。

スイスでの一杯のコーヒーは、単なる物価の話ではなく、私たちに「価値とは何か?」という問いを投げかけています。

💡主なポイント

  • スイスの物価は日本の約3倍だが、生活が成り立つのは「高付加価値経済」だから
  • グローバル競争力のある産業と、少数精鋭の高生産性モデル
  • 高賃金=高物価の裏には、制度・教育・都市設計などの総合力がある
  • 日本は「安さ頼みの経済」から脱却し、「価値を生む構造」への転換が必要

🇯🇵日本も応用できない?

  • 高付加価値な商品・サービスの創出+国際市場への展開を後押しする政策が必要
  • 「安くて良いもの」から「高くても価値あるもの」への意識転換がカギ
  • 医療、半導体、観光、コンテンツなど、グローバルで稼げる産業育成が重要
  • 労働時間ではなく「1時間あたりの価値」で勝負する経済モデルへ

「越境通勤」が当たり前の欧州型ライフスタイルとは? ー 国境が生活圏になるヨーロッパの働き方から見えるヒント

ヨーロッパでは、日常的に国境を越えて通勤する“越境通勤”が当たり前。たとえばスイスのリヒテンシュタインやサルガンスでは、労働者の多くが隣国との間を毎日行き来しています。こうした国境を越えた働き方は、生活圏が“国”単位ではなく“地域”として機能していることを意味します。
日本でも「地方在住×都市圏案件」など、地域を越えたリモート就労が増えてきていますが、制度やインフラ整備が欧州に比べて遅れているのが現状。
ボーダーレスな働き方に適応するためには、国や自治体レベルでの制度設計と、地域間の連携強化が必要です。

💡主なポイント

  • 🇱🇮 リヒテンシュタインでは労働者の約46%が国外(特にオーストリアのフォアアールベルク州)から通勤。
  • 🇨🇭 サルガンスでは約60%が町外(スイス国内外)で働いており、国外へ通勤する人も多数。
  • 💶 リヒテンシュタインは給与水準が高く、近隣国から働きに来る人が多い構図
  • 🔁 一方サルガンスは給与の高い他国へ働きに出る人が多い
  • 🏡 「生活圏=国境をまたいだ地域全体」というヨーロッパならではのスタイル。
  • 🚌 ドイツやフランスから毎日スイスに通勤する人が多数。例:フランス在住のアンソニーは、毎日スイスのバーゼルに通勤。
  • 🌐 国境を越えた通勤を支えるインフラ(鉄道・道路)と制度(ビザ・税制協定)が整っている。
  • 🔄 日本でも「都市圏の仕事×地方移住者」のような国内越境型”通勤・就労モデルが拡大中。

🇯🇵日本も応用できない?

  • 欧州のように「国境を越える感覚がない働き方」は、リモートワークや地域活性化の鍵となる。
  • 国内においても、“距離”より“関係性”や“スキル”で仕事がつながる社会を目指すべき。
  • 働き方が「場所から解放される」ことに対して、制度・交通・通信インフラの整備が急務。
  • 県境・都市境を越えた高付加価値リモート勤務:例:地方在住で東京案件に関わる/アジア在住で日本案件に貢献
  • フリーランスや副業解禁とも親和性高い
  • 地理的な距離よりも、スキルと環境整備次第で“高賃金圏”を創ることが可能

🇩🇪🇻🇳 10万人のベトナム人が暮らすドイツから考える「移民政策と人材交流」 ― 日本にとっての示唆とは?

ドイツを訪れて驚いたのは、多くのベトナム人が日常に溶け込んで暮らしていたこと。実はドイツには10万人を超えるベトナム人が在住しており、その背景には旧東ドイツ時代から続く「人材協定」や制度的な枠組みがありました。

日本にも44万人を超えるベトナム人が就労していますが、いまだに技能実習制度の問題点や制度の古さが指摘され続けています。

国を超えた人材交流は不可逆の流れであり、日本もアジアとどう向き合うか、そして対等な関係性”に基づく受け入れ制度の再構築が求められています。

💡主なポイント

  • 👀 ドイツには10万人以上のベトナム人移住者が在住。
  • 🌍 ヨーロッパ各国にもベトナム人移民が多く、「出稼ぎ」だけでなく定住型の世代交代も進んでいる。
  • 🧑‍🦳 たとえば、ミュンヘンで再会したベトナム系ドイツ人のミーさんも、おばあさんが移民1世だった。
  • 🇩🇪🤝🇻🇳 1970〜80年代の旧東ドイツでは、社会主義国だったベトナムと友好関係があり、契約労働者を受け入れていた歴史がある。
  • 📚 現在も以下のような制度的枠組みで人材交流が継続:
  • 介護人材育成・派遣プログラム(2012〜)
  • 職業訓練生プログラム(Berufsbildungspartnerschaft)
  • 熟練労働者移民法(2019)
  • GIZ(ドイツ国際協力公社)による人材支援

🇯🇵日本も応用できない?

  • 日本では44万人のベトナム人が就労しているが、技能実習制度への課題が多く、対等な制度とは言いづらい現状がある。
  • ベトナムとドイツのような長期的かつ制度的な人材交流の枠組みは、今後の国際労働力確保のヒント。
  • 「労働力不足だから来てもらう」ではなく、相互成長型・共生型の仕組みづくりが日本にも必要。
  • 技能実習制度の限界を認識し、より透明性・持続性・尊重に基づく新制度設計を急ぐべき。

🇱🇮小国リヒテンシュタインという理想国家―スモールモデル国家の可能性と豊かさの再定義

リヒテンシュタインは人口わずか4万人足らずながら、1人あたりGDPは世界トップクラスの15万ドル超(約160,000ドル≒約2,400万円)。精密工業や金融・保険業、歯科医療製品といった高付加価値産業に特化し、高福祉・高教育・高所得を実現しています。

スイスと通貨・税制・外交を連携しながら、小さな国家規模を活かして柔軟な政策運営を行っており、「小さいけれど豊かに暮らせる国」の象徴とも言える存在です。

💡主なポイント

  • 国家規模の小ささ=弱さではない→ 戦略性・柔軟性・効率性の源泉になり得る
  • 財政・行政の無駄を抑えた「小さな政府」モデル
  • 安定した治安と教育・社会保障の質の高さ
  • 税も安いミニ国家:リヒテンシュタインの主な税率(2025年時点)は
    法人税(企業)/統一法人税率:約12.5% ※スイスなどと比べても低く、ヨーロッパ全体でもかなりの低水準・実効税率はさらに下がることも(地域税など加味しても有利)
    所得税(個人):最大24%前後(州税+国家税を含めて)※低所得層はもっと低く、実効税率は日本よりかなり低いケースが多い
    消費税(付加価値税/VAT)/標準税率:8% ※スイスと同じ水準で、ヨーロッパでは非常に低い部類
  • 高度な金融制度×生活のしやすさ
  • 私たち(日本)への示唆として、「大きな国家」や「人口増」だけが正義ではなく、多様な国のあり方や経済の形があることを体感。小さな自治体や地域でも戦略的に豊かになれるヒントを与えてくれる国です。

🇯🇵日本も応用できない?

リヒテンシュタインのモデルから学べることは、「規模ではなく設計」という視点です。
日本のように人口減少や地方の過疎化が進む国では、逆にこの“小さくても強いモデル”が大きな示唆を与えてくれます。つまり、リヒテンシュタインのようなモデルは、「地方から始める豊かさの再設計」に応用できるヒントが詰まっています。

  • 地方自治体や市区町村単位で、高付加価値産業に特化する戦略
  • 小さなコミュニティでの高効率な行政運営
  • 移住促進・ビザ戦略・企業誘致など、自治体単位の制度設計
  • 税制やインフラ整備を通じた選ばれる地域づくり

🇩🇪♻️ 環境と経済が両立するドイツの「デポジット制」から考える、日本のリサイクルのこれから

ドイツを訪れて驚いたのは、空の缶やペットボトルを返却すると「お金が戻ってくる」リサイクル機がスーパーに普通に置かれていたこと。

実はこれ、「デポジット制(Pfand)」と呼ばれる仕組みで、購入時に数十セント上乗せして支払い、空容器を返すことで返金されるというもの。

単なるリサイクルの義務感ではなく、“ちょっと得する仕組み”として日常に組み込まれており、その結果、ドイツのリサイクル率は90%を超えるともいわれています。

💡主なポイント

  • ペットボトルや缶の購入時にデポジット「保証金(Pfand)」(約25セント)を支払い、返却時に現金またはバウチャーで返金
  • ドイツのインセンティブ設計による高リサイクル率(90%超)
  • 街中のスーパーや駅構内に回収機があり、誰でも手軽に利用可能
  • 子どもたちが空容器を集めてお小遣いにする姿も(市民参加型の好循環)
  • 「分別しないといけない」から「返せば得する」への意識転換
  • 再資源化が前提の仕組みなので、回収後の流通も効率的

🇯🇵日本も応用できない?

  • 現状:リサイクルは「善意依存」→行動変容が起きにくい。日本では自治体ごとのルールや分別方法の複雑さが課題🤔
  • 自主性に頼る部分が多く、リサイクル意欲の継続や透明性の面で改善の余地がある
  • 保証金制度(デポジット制)導入で、回収率UP+行動設計の改革へ
  • 返金機導入やポイント連携で若者層の参加も可能に
  • 「環境は意識ではなく設計で守る」時代──制度による行動のデザインが日本にも必要
  • インセンティブ設計で参加型リサイクルを促進できるのでは?
  • 観光立国を目指すなら、誰にでも分かりやすい統一的な回収システムも重要
  • 高齢者や外国人も迷わず参加できる仕組みづくりが求められる
  • 「エコ意識」や「モラル」だけでない、経済的合理性と制度設計の工夫。
  • ドイツの例は、日本の循環型社会づくりにおけるヒントになるかもしれない。

🇩🇪📸 撮影禁止が生む「体験価値」―ノイシュバンシュタイン城から考える“観光の質”と日本のルール設計

ノイシュバンシュタイン城を訪れて印象的だったのが「内部撮影の完全禁止」
誰もがカメラを手にするこの時代に、あえて“撮らせない”という選択がされている場所でした。

スマホ撮影を控えた空間設計は、「記録よりも、その場の空間や雰囲気を味わってほしい」という思想が感じられました。実際、スマホを置いて目の前の空間に没入する観光体験は、記憶に深く残るものでした。

💡主なポイント

  • ノイシュバンシュタイン城では内部撮影が全面禁止
  • 観光客はオーディオガイドを使って内部を巡るスタイルで、スマホではなく「目」で楽しむ構成
  • 撮影に気を取られず、空間に没入できる設計が印象的
  • 撮影禁止にすることで、混雑の緩和・没入感の向上・文化財の保護にもつながっている
  • 欧州ではこうした「体験を守るためのルール」が一定の理解と尊重を受けている。欧州でルールが尊重されやすい理由として、文化財保護意識の高さや、観光=教育・教養という位置づけ、また個人主義と公共空間の線引き、という理由が挙げられる。

🇯🇵日本も応用できない?

  • 観光体験の質向上に向けた示唆として、現在の日本では、ほとんどの観光スポットで写真撮影が自由になっており、「映え」や「シェア」前提の設計が主流。しかしその一方で、混雑やマナー問題、場の空気が薄れるという課題も見え隠れしている
  • “全面OK”か“全面NG”ではなく、エリアや時間で撮影可否を分ける柔軟なルール設計も可能
  • 体験価値を高める「撮影禁止エリア」には、別料金を設定することで納得感と収益化を両立できる
  • 「写真が撮れない=損」ではなく「撮らないからこそ記憶に残る」という価値観づくりが重要
  • 観光地に求められるのは、“数”ではなく“質”を高める仕掛け。ドイツの事例は、「撮らせないことで、心に残す」観光の可能性を教えてくれた。

🚗フランスで見た「ドライブスルー式スーパー」– 地方や高齢化社会に効く“買い物UX”の新モデルとは?

フランスの郊外都市で驚いたのが「ドライブスルー式スーパー」。日本ではまだ見かけないまさに新しい小売UX。

「完全なドライブスルー専用スーパー」という形態は、現在の日本にはほとんど存在していません(※2025年時点)。似たサービスは一部ありますが、欧州のように「店内に入らず、完全にドライブスルーで買い物が完結する」スタイルはまだ一般的ではないです。

あらかじめネットで注文し、指定時間に車で受け取りに行くだけ。店舗内に入らずに商品を受け取れるこの仕組み、実は高齢者や子育て世代など、幅広い層に支持されていました。地方や高齢社会に向いた買い物モデルとしての可能性があります。

特に郊外では、買い物にかかる“移動・滞在の手間”が大きいため、こうした効率的なUX設計が重宝されているようです。

サービス形態日本での実例
ドライブスルーで商品の受け取り一部のイオン、カインズ、スタバ、マクドなど
オンライン注文+駐車場受け取り(カーブサイドピックアップ)あり(例:イオンネットスーパー)
完全ドライブスルー型スーパーほぼなし(実店舗型では未普及)

💡主なポイント

  • フランスで「ドライブスルー式スーパー」=商品を事前注文→車で受取だけ
  • 高齢者や忙しい層に大人気
  • フランスでは多くのスーパーが「Drive」専用窓口を設置
  • ネットで商品を注文 → 車で受け取り
  • 滞在時間はわずか数分、非接触・効率的で安心

🇯🇵日本も応用できない?

  • 地方の買い物難民・高齢化地域への物流モデルとして有効
  • スーパーマーケット、薬局、役所の申請書類受け渡しなどにも展開可能
  • 物流の最終拠点として、薬局・役所申請書受け渡しなどへの展開も
  • 人手不足対策・非対面需要にもマッチ
  • 高齢化・人手不足が進む日本においても、こうした発想の転換が必要
  • キーワードは「非対面 × 簡便性 × 郊外型UX」

日本への示唆として、 人手不足・高齢化時代には、非対面×簡便性×郊外型UXがカギになる。

🏔 スイスとカタールに共通する「高GDPの構造」― 日本が学ぶべき“国家が稼ぐ仕組み”とは?

世界でもトップクラスのGDPを誇るスイスとカタール。立地も文化も異なる2国ですが、国家レベルで「稼ぐ構造」を徹底的に設計している点に共通点があります。単なる勤勉さや努力ではなく、「何で稼ぎ、どう支えるか」を明確に戦略化していることが、少数精鋭での高パフォーマンスを可能にしているのです。

国名一人あたりGDP(USD)
🇨🇭スイス約94,000ドル 約1,363万円
🇱🇮リヒテンシュタイン約160,000ドル 約2,400万円
🇶🇦カタール約85,000ドル 約1,233万円
🇯🇵日本約35,000ドル 約508万円

現状の日本との比較をすると、

  • スイスの約3分の1
  • リヒテンシュタインの約4.6分の1
  • カタールの約2.4分の1

つまり、日本はスイスやカタールと比べて2〜3倍の差をつけられている状況です。

💡主なポイント

  • 高付加価値産業への集中
    ・スイス:製薬(ノバルティス)、金融(UBS)、精密機器(ロレックス)など、単価の高い産業に集約
    ・カタール:天然ガス輸出+政府系ファンドによる世界的投資運用
    → 単価が高く、グローバル市場で稼げる分野を国家の柱に
  • 労働人口の最適活用
    ・カタール:自国民は主に公務、単純労働は移民に委託
    ・スイス:外国人労働者が全体の約4割。現場支え役と高度人材の役割分担が明確
    → 高付加価値層と基盤労働層の棲み分けが戦略的
  • 資本を呼び込む税制と制度設計力
    ・スイス:法人税競争力、世界的な資本が集まる金融拠点。法人税の低さ+金融法制度の信頼感=資本が集まる設計
    ・カタール:個人所得税ゼロ、国家によるインフラ・海外投資運用主導
    → 「制度設計」が富を呼び込んでいる。国が“稼ぐ構造”を意図的に作っている。制度と都市設計で「世界の資産・企業」を取り込む土壌づくり

🇯🇵日本も応用できない?

  • 付加価値の高い産業に国をシフトさせる
    人月単価・製造単価で戦う時代は終焉。
    → 医療、半導体、エネルギー、AI、コンテンツ、自動運転など「頭脳」で勝てる分野に注力を
  • 国境を越える働き方・稼ぎ方の解禁
    → 越境EC/越境就労/越境教育/海外リモートワーク/海外向け教育など、“日本にいながら世界で稼ぐ”スタイルを制度面でも後押し(逆も可能)
  • 外資・移民が活躍できる都市設計/制度設計
    → 英語対応、滞在しやすさ、生活コスト、ビザの柔軟化など、地方も含めた“選ばれる都市設計”や外部人材を受け入れる仕組みをつくる
  • 実践型の教育改革と人材投資
    → フィンランド型・現場と接続した専門学校型人材育成モデルへ転換。即戦力=実用スキルと+語学対応ができる人材を大量に育成
  • GDPを上げるには「どこで稼ぎ、どう再分配するか」
    → GDPを上げるために必要なのは、単なる「労働時間」や「勤勉さ」ではなく、「稼ぐ仕組み」と「分配の最適化」。スイスやカタールのような国は、それを国家戦略レベルで徹底している点が特徴

まとめ|旅で得た視点を、私たちの未来に活かす!「外に出ること」が、未来のヒントになる

今回の10日間・5カ国の旅は、単なる観光ではなく、世界各地の「社会の仕組み」「働き方」「価値観」に触れる貴重な体験でした。
スイスの高付加価値経済、リヒテンシュタインの越境型ライフスタイル、ドイツのリサイクル制度、フランスの買い物UX、そしてカタールの国家モデル…。それぞれの国で見た景色の奥には、「どうやって社会が成り立ち、人々が豊かさを手にしているのか?」という問いへのヒントがありました。

旅は、ただの消費や娯楽ではなく、「視野を拡張する実践の学び」です。社会制度も、経済構造も、文化的背景も違う国を歩くことで、「なぜ日本はこうなんだろう?」と、自国の前提に疑問を持てるようになります。

そしてその気づきは、どれも「日本でも応用できるかもしれない」可能性を秘めています
もちろん単純な真似はできませんが、視点を変えることで見える課題や、取り入れられる要素はたくさんあるはずです。

いま日本が直面する「経済の低迷」「地方の空洞化」「制度疲労」といった課題に対して、世界の実例は“参考書”になり得ます。だからこそ、旅は単なる癒しや娯楽ではなく、“学びの装置”として、個人や社会をアップデートする手段になるのだと思います。これからの日本は、「縮小均衡」ではなく、「創造的な転換」が求められる時代です。

これからも、世界で見たこと・感じたことを、自分なりの言葉と視点で届けていきたいと思います。
次の旅では、またどんな「問い」と「答え」に出会えるのか楽しみです。

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今回の気づきはすべて動画内シーンで軽く紹介しています
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  • この記事を書いた人

人生ゆたか

株式会社リッチメーカー代表取締役。元アマボクサー→営業会社→世界一周'13〜14→ウェブ業界10年'14〜24(内8年ベトナムハノイ駐在'16〜24、ベトナム現地法人設立&元代表、ITオフショア経営、ビル運営、フリーペーパー創刊、オウンドメディア運営等)→ 世界二周目'24→ 株式会社リッチメーカー創業。旅した国/57カ国

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