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越境就労で日本に貢献?ベトナムに8年いた私が語る、越境プレイヤーが日本のGDPに与える本当の影響

2025年5月15日

多くの人は「海外在住=日本経済に無関係」と誤解しがち

 「海外にいるからって、日本の役に立たないなんて誰が決めた?」

今回、本記事を書いた理由として、よくある誤解を正せるテーマであるというのが理由の1つです。

多くの人は「海外に住んでいる=日本経済に無関係」と誤解しがちです。

しかし、この記事では「越境就労者がどのように日本に価値をもたらしているか」を明確にでき、読者の認識をアップデートできる社会的意義のあるテーマと言えます。

本記事のテーマでもある、越境就労や海外リモートワーク、海外ノマドといったものは、時代性があるキーワードであり、近年日本でもトレンドになっています。

また、私自身のベトナム駐在や現地でのビジネスの体験を交えて書くことで、信頼できる記事にしたいという思いがあります。「リアルで具体的な事例」と「経済的な視点」からバランスが取れた記事にしたいと考えています。

こんな方へ向けて書きました

  • 海外就業に興味がある人
  • 駐在・現地就職を検討している人
  • 海外ノマド・起業を目指す人
  • 「グローバルに稼ぐ」ことを模索する人

こういった方々の指針となる記事になるよう、「越境就労者=直接的な納税者ではない=貢献していない」という誤解を丁寧に解きながら、解説していきます。

国境を越える働き方には海外駐在も含まれるか?

以下の記事では、日本のGDPを上げていく施策として、越境EC、越境就労、越境教育、海外リモートワークなどの国境を越える働き方・稼ぎ方の解禁を制度面でも後押しすることの大切さについて述べました。

では、これらの国境を越える働き方には、海外駐在や海外就職などの越境プレイヤーも含まれるでしょうか

結論、「越境就労」の一形態として含まれると言えます。

理由として、海外駐在も立派な「越境就労」であり、このような制度的な後押しの流れにも含まれます。

ただし、「海外リモートワーク」や「越境EC」ほど自由度は高くなく、駐在先での責任や制約が伴う点は異なります。

上で挙げた「国境を越える働き方・稼ぎ方」の中で、越境就労というカテゴリには以下のような働き方が含まれます。

越境就労というカテゴリー

  • 日本人がベトナムなど海外現地に赴任・駐在して働く(海外駐在)
  • 現地法人や関連会社で就労ビザを取得し、給与は現地通貨またはアメリカドルや日本円でもらう形(現地企業所属または現地採用)
  • 雇用主が日本法人でも、勤務地が海外であれば「越境」扱いになる(海外出張・駐在)

越境就労者がGDPに貢献する4つの理由

そもそも「GDP」とは何かという点から話しますと、まず前提として、日本のGDP(国内総生産)は、「日本国内で生み出された付加価値の合計」です。したがって、海外で働いているあなたの「所得」そのものは、日本のGDPには直接カウントされません

越境就労者が日本のGDPを上げる理由は、一見すると矛盾しているように思えるかもしれません。

しかし、視点を整理すればしっかりと説明できます。

越境就労者が“日本のGDPに貢献する理由

  • 「所得の還元(消費・投資)」現地企業所属で所得を現地通貨で得ていても、所得を日本国内に還元している(送金・投資・消費)
    ベトナムで得た収入を日本に送金したり、国内の家族の生活費、投資、住宅ローンなどに使えば、それが国内消費としてGDPに貢献する。例:「日本に家族がいて仕送りをしている」場合、そのお金で家族が消費する → GDP加算される。
  • 「法人税・売上計上」駐在員として納税が日本である(日本企業に所属)
    日本法人に籍を置いたまま海外で活動している駐在員の場合、企業の売上や利益は会計上日本国内で発生していると見なされる。現地で獲得したビジネス成果が、日本企業の売上→法人税・雇用→GDPへ反映される。例:駐在先で案件を受注 → 売上は日本本社に計上 → 日本のGDP加算
  • 「経済連携の創出」日本との経済連携を生む“触媒”として機能している
    現地企業との橋渡し、パートナーシップ、調達、マーケティング、PRなどを通して、日本企業の海外展開・収益機会を広げる役割。自身が「越境ビジネス」の結節点であり、日本の経済活動の地平を広げているケース。例:ベトナム企業(子会社)と日本企業(親会社)をつなぐプロジェクト → 日本側に利益・雇用・輸出を生む → 日本のGDP貢献
  • 「ナレッジの逆輸入」ナレッジ・人的資本の逆輸入(帰国後の貢献)
    越境就労者は、現地文化・市場・言語・マネジメント・国際ビジネスのスキルなどを身につける。その結果、帰国後や発信活動を通して、日本経済・教育・人材育成に価値還元される。例:駐在経験を活かしたビジネス支援やメディア発信 → 国内起業家や企業の成長を促進 → 結果日本のGDP増加(弊社リッチメーカーの役割はここ)20代の海外就業志望者からフォローされることが多い。

上ので挙げたように、海外で働いているからといって、日本のGDPに無関係ではありません。

むしろ、「越境就労者」は今後の日本経済において、以下のような重要な役割を果たす存在です。

「越境就労者」の日本経済における重要な役割

  • 経済的接続点としての実行者
  • 日本のサービス・製品を輸出する“触媒”
  • 知見と経験を日本に持ち帰る“リターン人材”
  • 発信・教育による間接貢献者

「越境就労者」は日本との経済連携を生む“触媒”として経済に機能する

越境就労者は、簡単に言えば、

  • ベトナムと日本の企業をつなげる
  • 現地で日本企業の事業展開を支援
  • 双方のニーズを理解し、実現のための仕組みや信頼関係を築く

といった行動を通して、

日本と海外の経済的なつながり(=連携)を生み出す“きっかけ”や“触媒”になっている。

と言えます。

例えると、化学で「AとBは反応しないけど、“触媒C”を入れると反応する」という現象があるが、この「触媒C」が、越境就労者のような立場の人だと考えることができる。

言い換え例でわかりやすくすれば

  • 「日本企業と海外市場をつなぐ架け橋
  • 「経済連携の潤滑油
  • 「日越ビジネスの推進エンジン

上記のような言い換えでより伝わりやすくできます。まさにこれこそが、「経済連携を生む触媒」としての役割を示す強い証拠となります。

もちろん、実際に現地に入って、日本の文化や企業のやり方を理解しつつ、ベトナム側の実情や人材・市場も理解を示さないといけないですし、そうしなければ、橋渡しをし、信頼を築き、仕組みを作り、事業を動かすことはできないでしょう。

それが実現できれば、単なる「駐在」や「派遣」をではなく、双方向に価値を流し込む“媒介者”、「グローバルな人的資本」そのものになることができます。

私の駐在経験から見る越境就労のリアルな実体験

ご参考までに、私の駐在経験を通じて感じたことをお伝えします。

最初の数年は日本法人に所属しながら日本円での支払いが続いていたため、海外にいながらも日本企業の一員としての役割を果たしていました。現地法人では、日本企業の海外展開を支える土台作りに携わり、ビジネスの橋渡し役を担ってきました。

また、現地で新規事業を立ち上げることで、日本企業が進出しやすい環境を整え、売上や提携機会の創出に貢献。帰国後も得た知見を活かし、越境ビジネス支援やメディア発信を通じて日本とアジアをつなぐ活動を続けています。

これらの活動は、単なる数字や成果だけでなく、文化や市場理解、人と人とのネットワークといった目に見えない価値を日本に届けることにもつながっています。

具体的な事実としては

  • 最初の数年は日本法人所属で日本円の支払い。海外にいながらも日本法人の人件費として機能していた。
  • 現地法人でも、日本企業の海外展開を推進する基盤を提供。
  • 複数の新規事業を現地で立ち上げ、日本とつながるビジネスインフラを構築。日本企業の売上創出に直接貢献。
  • 帰国後もナレッジと人的資本の“逆輸入”として、文化・市場理解・ネットワークという目に見えない資本を日本に提供中。

これからの日本に求められる“越境人材”とは?

そもそも越境人材とは?

単に国境を越えて働く人々だけでなく、物理的、文化的、あるいはビジネス的な枠組みを超えて活躍できる人材を指します。これには、リモートワーク、フリーランス、副業、複業といった柔軟な働き方を受け入れ、国や地域の壁を越えて価値を提供できるスキルを持つ人々が含まれます。

なぜ日本は越境人材を求めるのか?

日本の労働市場は、少子化や高齢化、働き方改革などの影響を受けており、従来の「終身雇用」「正社員一極集中」型の働き方では対応しきれなくなっています。特に、グローバル化が進む現代では、国際的な視点を持つ人材が求められています

また、企業側はコストの削減や効率化を進めるために、フリーランスやリモートワークという新しい働き方を積極的に導入しつつあります。これらの背景から、国際的な経験やフレキシブルな働き方を実践する越境人材が求められています。

越境人材の特性

  • 異文化適応力
    異なる文化や価値観に対して柔軟に対応できる能力。多国籍チームとの協働や、海外拠点との調整を行うために重要なスキル。
  • リモートワーク能力
    場所に依存しない働き方に対応できる能力。自己管理能力や、オンラインツールを活用したコミュニケーション能力が必要。
  • 多様なスキルセット
    複数の分野において活躍できるスキルを持ち、複数の職務を兼任する能力。副業や複業が一般化する中で、このスキルはますます重要になっている。
  • グローバルな視点
    海外との交流経験や、国際的なネットワークを活用したビジネス展開のスキル。

越境人材は、今後の日本経済を支える重要な人材層となります。リモートワークや副業、複業といった新しい働き方が普及する中で、国境を超えて活躍できる人材は、企業の競争力を高めるとともに、個人のキャリアにおいても大きな成長をもたらします。これからの時代には、越境人材としてのスキルと経験を積むことが、成功への鍵となるでしょう。

越境プレイヤーが日本にもたらす価値とは?

越境プレイヤー(越境人材)は、物理的な国境を越え、さまざまな文化や経済圏で活躍する人々であり、現代のグローバル経済において重要な役割を果たしています。

これらのプレイヤーは、単に自国の経済活動に貢献するだけではなく、国際的な視点や経験を持ち帰り、国内に新たな価値をもたらします。特に、日本が直面している少子高齢化や労働力不足、グローバル競争などの課題に対して、越境プレイヤーは重要な存在となり得ます。

越境プレイヤーが日本にもたらす価値は、単に現在のGDPに直結するわけではなく、未来に向けた経済的、文化的、社会的な貢献にも関係しています。

  • 新たな市場の開拓:越境プレイヤーは、海外で得た知識や経験を基に、日本企業が新たな市場に参入する際の架け橋となることができる。特に、アジア市場や新興市場において、ローカルなネットワークや文化的理解を活かし、日本企業の国際展開を支援することが期待できる。
  • イノベーションの促進:異なる文化や価値観に触れてきた越境プレイヤーは、斬新なアイデアや解決策を持ち込む。日本の企業や社会は、閉鎖的な環境にいることが多いため、異なる視点を取り入れることがイノベーションを生む鍵となる。越境プレイヤーは、新しいビジネスモデルや商品開発、サービスの提供方法を提案することで、企業の競争力を高める。
  • 持続可能な社会作り:越境プレイヤーは、多様な社会的背景や価値観を理解し、持続可能な経済の在り方を模索している。特に、グローバルな視点から環境問題や社会的責任について関心を持っているため、持続可能なビジネス慣行や社会貢献活動を進める上で重要な役割を果たす。

まとめ

以上、越境プレイヤーがどのように日本経済に影響を与えることができるかというテーマで話してきました。

現代の日本において、越境人材は単なるグローバルな労働力としての役割を超えて、経済、文化、社会に対して新たな価値をもたらす重要な存在です。

リモートワークや複業、国境を越えた新しい働き方を積極的に取り入れた越境プレイヤーは、日本の企業にグローバルな視点を提供し、国際的な市場の開拓やイノベーションの推進、持続可能な社会作りをサポートしています。

さらに、これらのプレイヤーがもたらす価値は、GDPという単一の指標だけでは測れない、新たな市場の開拓などの未来志向の経済的・社会的貢献に繋げることができます。

越境人材の増加は、日本に新しい働き方やライフスタイルを定着させ、多様性を尊重する社会の形成にも寄与するでしょう。これからの時代、日本が抱える課題に対して、越境プレイヤーは重要な解決策となり、次世代へのインスピレーションを与え続ける存在となることが期待されます。

読者への問い

  • あなた自身、越境人材としてどのような価値を社会に提供できると感じていますか?
  • グローバルな視点を持つことが、日本の企業や社会にどのような変化をもたらすと考えますか?
  • リモートワークや複業を通じて、あなたの働き方はどのように変わり、どのような可能性を見出していますか?
  • あなた自身のキャリアは、地理的な枠を超えて、どのように多様化し、広がりを見せていますか?

人生ゆたか
人生ゆたか

これらの問いを通じて、越境人材としての自分をどう位置づけ、どのように社会や経済に貢献していけるのかを再考するきっかけにしていただければと思います。あなたは、越境就労にどんな価値を見出しますか?

  • この記事を書いた人

人生ゆたか

株式会社リッチメーカー代表取締役。元アマボクサー→営業会社→世界一周'13〜14→ウェブ業界10年'14〜24(内8年ベトナムハノイ駐在'16〜24、ベトナム現地法人設立&元代表、ITオフショア経営、ビル運営、フリーペーパー創刊、オウンドメディア運営等)→ 世界二周目'24→ 株式会社リッチメーカー創業。旅した国/57カ国

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