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多くの人は「海外在住=日本経済に無関係」と誤解しがち

「海外にいるからって、日本の役に立たないなんて誰が決めた?」
今回、本記事を書いた理由として、よくある誤解を正せるテーマであるというのが理由の1つです。
多くの人は「海外に住んでいる=日本経済に無関係」と誤解しがちです。
しかし、この記事では「越境就労者がどのように日本に価値をもたらしているか」を明確化にでき、読者の認識をアップデートできる社会的意義のあるテーマと言えます。
本記事のテーマでもある、越境就労や海外リモートワーク、海外ノマドといったものは、時代性があるキーワードであり、近年日本でもトレンドになっています。
また、私自身のベトナム駐在や現地でのビジネスの体験を交えて書くことで、信頼できる記事にしたいという思いがあります。「リアルで具体的な事例」と「経済的な視点」からバランスが取れた記事にしたいと考えています。
こんな方へ向けて書きました
- 海外就業に興味がある人
- 駐在・現地就職を検討している人
- 海外ノマド・起業を目指す人
- 「グローバルに稼ぐ」ことを模索する人
こういった方々の指針となる記事になるよう、「越境就労者=直接的な納税者ではない=貢献していない」という誤解を丁寧に解きながら、解説していきます。
国境を越える働き方には海外駐在も含まれるか?

以下の記事では、日本のGDPを上げていく施策として、越境EC、越境就労、越境教育、海外リモートワークなどの国境を越える働き方・稼ぎ方の解禁を制度面でも後押しすることの大切さについて述べました。
では、これらの国境を越える働き方には、海外駐在や海外就職などの越境プレイヤーも含まれるでしょうか?
結論、「越境就労」の一形態として含まれると言えます。
理由として、海外駐在も立派な「越境就労」であり、このような制度的な後押しの流れにも含まれます。
ただし、「海外リモートワーク」や「越境EC」ほど自由度は高くなく、駐在先での責任や制約が伴う点は異なります。
上で挙げた「国境を越える働き方・稼ぎ方」の中で、越境就労というカテゴリには以下のような働き方が含まれます。
越境就労者がGDPに貢献する4つの理由

そもそも「GDP」とは何かという点から話しますと、まず前提として、日本のGDP(国内総生産)は、「日本国内で生み出された付加価値の合計」です。したがって、海外で働いているあなたの「所得」そのものは、日本のGDPには直接カウントされません。
越境就労者が日本のGDPを上げる理由は、一見すると矛盾しているように思えるかもしれません。
しかし、視点を整理すればしっかりと説明できます。
上ので挙げたように、海外で働いているからといって、日本のGDPに無関係ではありません。
むしろ、「越境就労者」は今後の日本経済において、以下のような重要な役割を果たす存在です。
「越境就労者」は日本との経済連携を生む“触媒”として経済に機能する

越境就労者は、簡単に言えば、
- ベトナムと日本の企業をつなげる
- 現地で日本企業の事業展開を支援
- 双方のニーズを理解し、実現のための仕組みや信頼関係を築く
といった行動を通して、
日本と海外の経済的なつながり(=連携)を生み出す“きっかけ”や“触媒”になっている。
と言えます。
例えると、化学で「AとBは反応しないけど、“触媒C”を入れると反応する」という現象があるが、この「触媒C」が、越境就労者のような立場の人だと考えることができる。
上記のような言い換えでより伝わりやすくできます。まさにこれこそが、「経済連携を生む触媒」としての役割を示す強い証拠となります。
もちろん、実際に現地に入って、日本の文化や企業のやり方を理解しつつ、ベトナム側の実情や人材・市場も理解を示さないといけないですし、そうしなければ、橋渡しをし、信頼を築き、仕組みを作り、事業を動かすことはできないでしょう。
それが実現できれば、単なる「駐在」や「派遣」をではなく、双方向に価値を流し込む“媒介者”、「グローバルな人的資本」そのものになることができます。
私の駐在経験から見る越境就労のリアルな実体験

ご参考までに、私の駐在経験を通じて感じたことをお伝えします。
最初の数年は日本法人に所属しながら日本円での支払いが続いていたため、海外にいながらも日本企業の一員としての役割を果たしていました。現地法人では、日本企業の海外展開を支える土台作りに携わり、ビジネスの橋渡し役を担ってきました。
また、現地で新規事業を立ち上げることで、日本企業が進出しやすい環境を整え、売上や提携機会の創出に貢献。帰国後も得た知見を活かし、越境ビジネス支援やメディア発信を通じて日本とアジアをつなぐ活動を続けています。
これらの活動は、単なる数字や成果だけでなく、文化や市場理解、人と人とのネットワークといった目に見えない価値を日本に届けることにもつながっています。
これからの日本に求められる“越境人材”とは?

そもそも越境人材とは?
単に国境を越えて働く人々だけでなく、物理的、文化的、あるいはビジネス的な枠組みを超えて活躍できる人材を指します。これには、リモートワーク、フリーランス、副業、複業といった柔軟な働き方を受け入れ、国や地域の壁を越えて価値を提供できるスキルを持つ人々が含まれます。
越境人材の特性
- 異文化適応力
異なる文化や価値観に対して柔軟に対応できる能力。多国籍チームとの協働や、海外拠点との調整を行うために重要なスキル。 - リモートワーク能力
場所に依存しない働き方に対応できる能力。自己管理能力や、オンラインツールを活用したコミュニケーション能力が必要。 - 多様なスキルセット
複数の分野において活躍できるスキルを持ち、複数の職務を兼任する能力。副業や複業が一般化する中で、このスキルはますます重要になっている。 - グローバルな視点
海外との交流経験や、国際的なネットワークを活用したビジネス展開のスキル。
越境人材は、今後の日本経済を支える重要な人材層となります。リモートワークや副業、複業といった新しい働き方が普及する中で、国境を超えて活躍できる人材は、企業の競争力を高めるとともに、個人のキャリアにおいても大きな成長をもたらします。これからの時代には、越境人材としてのスキルと経験を積むことが、成功への鍵となるでしょう。
越境プレイヤーが日本にもたらす価値とは?

越境プレイヤー(越境人材)は、物理的な国境を越え、さまざまな文化や経済圏で活躍する人々であり、現代のグローバル経済において重要な役割を果たしています。
これらのプレイヤーは、単に自国の経済活動に貢献するだけではなく、国際的な視点や経験を持ち帰り、国内に新たな価値をもたらします。特に、日本が直面している少子高齢化や労働力不足、グローバル競争などの課題に対して、越境プレイヤーは重要な存在となり得ます。
越境プレイヤーが日本にもたらす価値は、単に現在のGDPに直結するわけではなく、未来に向けた経済的、文化的、社会的な貢献にも関係しています。
- 新たな市場の開拓:越境プレイヤーは、海外で得た知識や経験を基に、日本企業が新たな市場に参入する際の架け橋となることができる。特に、アジア市場や新興市場において、ローカルなネットワークや文化的理解を活かし、日本企業の国際展開を支援することが期待できる。
- イノベーションの促進:異なる文化や価値観に触れてきた越境プレイヤーは、斬新なアイデアや解決策を持ち込む。日本の企業や社会は、閉鎖的な環境にいることが多いため、異なる視点を取り入れることがイノベーションを生む鍵となる。越境プレイヤーは、新しいビジネスモデルや商品開発、サービスの提供方法を提案することで、企業の競争力を高める。
- 持続可能な社会作り:越境プレイヤーは、多様な社会的背景や価値観を理解し、持続可能な経済の在り方を模索している。特に、グローバルな視点から環境問題や社会的責任について関心を持っているため、持続可能なビジネス慣行や社会貢献活動を進める上で重要な役割を果たす。
まとめ

以上、越境プレイヤーがどのように日本経済に影響を与えることができるかというテーマで話してきました。
現代の日本において、越境人材は単なるグローバルな労働力としての役割を超えて、経済、文化、社会に対して新たな価値をもたらす重要な存在です。
リモートワークや複業、国境を越えた新しい働き方を積極的に取り入れた越境プレイヤーは、日本の企業にグローバルな視点を提供し、国際的な市場の開拓やイノベーションの推進、持続可能な社会作りをサポートしています。
さらに、これらのプレイヤーがもたらす価値は、GDPという単一の指標だけでは測れない、新たな市場の開拓などの未来志向の経済的・社会的貢献に繋げることができます。
越境人材の増加は、日本に新しい働き方やライフスタイルを定着させ、多様性を尊重する社会の形成にも寄与するでしょう。これからの時代、日本が抱える課題に対して、越境プレイヤーは重要な解決策となり、次世代へのインスピレーションを与え続ける存在となることが期待されます。
読者への問い

- あなた自身、越境人材としてどのような価値を社会に提供できると感じていますか?
- グローバルな視点を持つことが、日本の企業や社会にどのような変化をもたらすと考えますか?
- リモートワークや複業を通じて、あなたの働き方はどのように変わり、どのような可能性を見出していますか?
- あなた自身のキャリアは、地理的な枠を超えて、どのように多様化し、広がりを見せていますか?

これらの問いを通じて、越境人材としての自分をどう位置づけ、どのように社会や経済に貢献していけるのかを再考するきっかけにしていただければと思います。あなたは、越境就労にどんな価値を見出しますか?